うむ

5ヶ月ぐらいぶり。


仮面ライダーWが終わった。
ここ数日ぼくはWのことばかりを考えていて、当分は熱が続きそうだ。


仮面ライダーW、何がそんなに良かったの?とずっと考えるわけだけれど、
そこは思うところがいくつかある。


例えばひとつは「復讐」とか「家族」というやや重めのキーワードが登場して
ある意味仮面ライダーらしい、というと変だけど、
いやそもそもまともに見る仮面ライダークウガ以来のぼくに言えることじゃないんだけど、
それをちゃんと子供向けにまとめてるところ。


また例えば度々「犯人当て」の流れで典型的なミスディレクションをたたみ掛けているところ。


あとは「昨日の行動を繰り返させる」イエスタデイ・ドーパントのように
ジョジョ4部的な搦め手能力バトルも組み込んじゃってるところ。
(しかもその攻略の仕方が、
ライダーのデザインを変えることによって敵の刻印を消したからOK!
なんて超理論なところもむちゃくちゃジョジョ4部的だと思った)


などなどあるのだが、わけても、「キャラクターの良さ」が印象的だった。


特にお気に入りは主人公、左翔太郎で、
これがハードボイルドに憧れるも甘さが目立ってハーフボイルド(半熟)
というなんともかわいい奴なんだけど、
この翔太郎の2.5枚目っぷりがこの作品の魅力のキモなんじゃないかと思う。


翔太郎があらゆるところでここぞとばかりに繰り出す
キメッキメなポーズや台詞はじわじわとスベリながらも、
基本的に2話1セットの構成の中で最後に下衆な敵を追い詰めたときなんかは
これが妙にハマってしまって悔しいけどカッコよかったりする。


序盤の中ボス的な存在である園崎霧彦もかなりこれに似てる。
かっこつけで自信家、設定上はそこそこ強いはずなのに、
実際は大して主人公たちを追い詰めないし、
せっかく「精神のみのドーパント!大発見!」の功績に喜んだりすると
サイコパス気味の奥さんに「そんなものは研究ずみよ」と一蹴される。
でもかっこつけてニヤニヤしてる。そこがすてき。



そして2.5枚目の真の魅力はここからで、
霧彦は結局愛する町を翔太郎に託して死んでしまうのだけど、
自らの死を悟ったときの霧彦の「やせ我慢っぽさ」がとっても秀逸なのだ。
だって若菜姫に向けて別れ際に言う言葉「君のラジオ、好きだったよ」なんて、
悲壮感あふれていて素敵すぎるじゃないですか。
「あんなに自信家だった霧彦さんが弱気になってるよ!」という悲壮感!


翔太郎も翔太郎でハーフボイルドだから、
ダブルの片割れであるフィリップにコンビとして見限られたり、
恩師の娘であるアキコにおやっさんの死を告げられなかったり、
ムスカ大佐よろしくの敵のボスに再起不能にされかけたり、
フィリップがいなくなっちゃう!っていう時に男泣きしたり、
度々へたれていくのだけど、
そこに「カッコつけがカッコつけないときのカッコよさ」が出てきて、
これがやたら胸を打つのですよ!


というわけで、ぼくがここまでダラダラ書いてきて言いたかったのは、
「いつもは多少コケてもカッコつけのキャラが、
本当に追い詰められてやたら泥臭くなったとき」
のシチュエーション燃え、ということ。
ここにきてキャラの挫折とか成長とかがはっきり見えてくる訳で、
それはジャンプ的な友情努力勝利や、敗北修行勝利に近くとも、
さらに一歩進んだかっこよさなんじゃないだろうか。
Wの物語の重要な箇所において、
すなわちvs霧彦、エクストリーム登場、vsテラーそしてvsユートピアと、
この演出がとても効果的に働いていたな、としみじみ考えている。
(ちなみにvsウェザーは照井パートだからちょっと違う。かっこつけっぱなし。決め台詞「振り切るぜ!」だしね)


と、ここまで書いてきた訳だけど、
ダイアリーのタイトルが特撮のことでなく漫画のことである限りは、
漫画における2.5枚目についても触れておかなければ。
漫画界における2.5枚目といえば、七色いんこのことだ。
かっこつけるけどホンネてんや玉サブローにしてやられちゃうあの感じ。
序盤はちゃんと泥棒してるあの感じ。
そしてラスト近くにはマジになっちゃうあの感じ。
まさに2.5枚目。そう思うと翔太郎ってけっこう七色いんこっぽいと言えなくもない。


実は、他にはそういうタイプの主人公ってあんまり思いつかない。
「普段はかっこつけない人がかっこつけるとカッコいい」はよくあるんだけどね。
と、いうことは、これで漫画描けば一山あてられるんじゃね?誰か描いてよ!
などと思いつつ、今回はこの辺で。
文章がかなりギクシャクした気がする。リハビリしていきます。

好きな水木しげる

ゆらゆら帝国が解散したので結構さみしいです。

ゆら帝→マンガといえば水木しげる、なので今日は好きな水木しげる



墓場鬼太郎
まあ好きな水木しげるといっても大抵メジャーものなんですいませんですが、
墓場鬼太郎はキャラが愛らしくて良いですね。


あれですね、読んだこと無い人はぜひ読んでいただきたいんですけど、
鬼太郎の幽霊オヤジ(目玉出る前)がグロいんで注意してください。
いまだに直視できない。


地獄へ行く片道切符が怖いですよね。
帰れないじゃん!→発狂!→ウワーッ!
の流れが、なんかふざけてるみたいですけど、ほんと怖いですよ。


あとは、生きていることに縛られて生活している人々を
アウトオブ人間の立場から冷ややかに見ている彼らのあの皮肉が
(ゲゲゲにも感じられますが、)色濃く楽しめるので、痛快。


悪魔くん千年王国
実はアニメ化した少年漫画っぽい方は未読なんです。申し訳ない。
アニメは百目がショタで実にかわいいと思います。あとOP。


千年王国編はもう少しマジメ、でももちろん水木先生なのでどこかふざけてます。
悪魔くんは時代よりも進みすぎて生まれてしまったのだけど、
その彼に若干でありながらも色々な仲間が居る、そのことに勇気付けられる。
というのは大げさですが、時代に立ち向かう孤独な姿はクールなヒーロー像。
皮肉ではありますがかっこいいです。


最後の方に悪魔くんが苦しむシーンが何コマにも渡ってゆっくり描写されるのだけど、
それが可笑しいのと同時に悲しいというか、衝撃的です。



水木しげるの新雨月物語
やっと多少マイナーですね。
古本屋でちょっと高めだった。今は何で読めるのかな。絶版?
奇談短編集なのですが、
「女を愛殺(セックスで殺す)」することを生業とする「セックスの安」という
かなりふざけた人物も出てきて水木先生もかなり全力でやらかしてるな!と思う一冊。


怖い話はちゃんと怖いけれども、
それこそ雨月物語的に奇妙な話が多いのでゾクゾクよりワクワク。
楽しいですね。


水木しげる遠野物語
最近でたやつも、ということで。
柳田國男遠野物語が100周年(?)だそうで、満を持してコミック化のようです。


水木サンの遠野探訪コラムも読み応えあって、
寝る前に少しずつ読んだりするのにお薦めですね。
枕元に一冊。


さて以上です。
もっと読んでないやつとか元ネタを読みこまねばなあ。ではまた。


墓場鬼太郎 (1) (角川文庫―貸本まんが復刻版 (み18-7))

墓場鬼太郎 (1) (角川文庫―貸本まんが復刻版 (み18-7))


悪魔くん千年王国 (ちくま文庫)

悪魔くん千年王国 (ちくま文庫)


水木しげるの雨月物語 (河出文庫)

水木しげるの雨月物語 (河出文庫)

※すいません、追記ですが、
 これは普通の雨月物語に水木先生の挿絵入りのもので、『新〜』とは別みたいです。


水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)

水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)

ああ

最低でも月イチでは書いていたい。


2月を振り返ると、
渡辺ペコ『ペコセトラ』
吉田秋生海街diary』の新刊
ろびことなりの怪物くん』4巻
志村貴子青い花』が5巻
辺りがピックアップどころだったでしょうか。
青い花と海街ダイアリーは刊行ペース遅いので貴重でしたね。
青い花は連載で毎回読んでますが、単行本で読んだ方が面白かったです。
鹿鳴館<8>の盛り上がりが際立ってましたね。
ここだけは連載でも「おっ?」と思っていたのだけど。


話題としては色々あった中村珍の『羣青 上』が小学館から刊行。
個人的には、内容はしかし残念…。
本谷有希子の帯で歓喜したのですが…


さて先月の話はそこそこに、3月。
ファンとして黙っていられないのはSBRの20巻が、やはり。
何といってもこの巻でジョジョの奇妙な冒険シリーズは通算100巻達成!!!


これは…もはや自分のことのように嬉しい…!
過去の部を見るとSBRは20冊めで過去最長な訳ですが、
これがまためちゃくちゃ面白いから凄い。
振り返ると、ジョジョは失速したところもあると思うけど、
しかしスタートから今までずっと走り続けてるなーという思いがして、それが実に胸を打ちますね。


やはり、常に切り口を新しく変化させているからこそ、走り続けている!という印象があって、
ずーっと同じことをやり続けるのはそれ自体スゴイことだと思うんですが、
ただの繰り返しでは結局飽きてしまう。
でもジョジョはいつも核心的なものを、革新的に描き続けてて…うん。


すいませんね、長々と。
いや身の上話的なことを言うと、ぼくはジョジョと同い年なんですよ。
だから親近感もあるし、その歳月というものに実感が伴うのですね。
それで凄く感動してしまうのですね。


さてSBR、今はまさにラストバトルの真っ最中で、今までの伏線が果たしてどう回収されるのか。
いや、そもそもちゃんと回収されるのか、というところですが、
荒木先生はいつもぼくらの想像の斜め上をいってくれるので、非常に楽しみです。
ぼくはジョニィに一番興味があって、
何をやってもダメの甘ったれの人生を送ってきた彼がどういう答えに辿りつくのか、楽しみにしたいです。



やべっ、語りすぎて疲れちゃった。大して内容も無いのに。
まあSBRが終わったらまた長々しい文章を書くと思います。


SBRに留まらずジャンプ系コミックスは結構アツくて、
ULTIMOとかも一応読んでるんですが武井さんはどうなるのか心配。
ユンボルとか、やめなよ!って思ってるんですが、予告とかでは「待望の!」な扱いなんだなあ。


加藤和恵青の祓魔師』は結構注目してます。
風呂敷が広かったり、ヨイショキャラが顕著だったり、不安を覚える要素もあるんですが、チームバトル的な描写が面白くていいなぁ、ネトゲっぽいなあ、なんて思ってます。


あとは今週のジャンプがやたら面白くて、
サスケェはまあ…って感じだけれど、ワンピースのアツさとか、バクマン
あのうわぁーって感じとか、凄くいいですね!
特にバクマンはあの感じがじわじわと描写されてて、グッとくるなあ。
ネタバレすまいとするとこんな書き方になるんですが、うーん。


あとは、あれだ、諸星大二郎のギャグ短編集が2冊出たのでした。
諸星先生もあとがきで自認するほど寄せ集め的な短編集ですが、
未収録のものや集めにくかった短編も入っているので、ファンなら買いです。
しかし括るまでもなく、どこからどこまでギャグなのか分かんないのが諸星先生のいいところ、とも思いますけどね。


そうですね。
ええと、あとは3月は色々出るので皆さんがんばりましょう!
10日 西炯子娚の一生』3巻くるぜくるぜ
10日(搬入日かな?)河内遥の『関根君の恋』も。多分買わないけど
12日 講談社少女コミック、『海月姫』と『ちはやふる』。マジか。
13日 徳間書店も今月は結構買うと思う。
15日 エンターブレイン雁須磨子の短編集とのこと。


後半は落合さよりぎんぎつね』2巻や『放浪息子』も新刊、さりげなく『ママはテンパリスト』あたりも混じってくるので気をつけたいところ。
20日にはF先生から見たまんが道とも言われる吉田忠藤子不二雄物語 ハムサラダくん』が松文館から出るらしいですよ。
あ、あと『凹村戦争』も文庫化だ!いい機会だから買おう、って明日か。



青い花 5巻 (F×COMICS)

青い花 5巻 (F×COMICS)


STEEL BALL RUN vol.20―ジョジョの奇妙な冒険Part7 (20) (ジャンプコミックス)

STEEL BALL RUN vol.20―ジョジョの奇妙な冒険Part7 (20) (ジャンプコミックス)


青の祓魔師 3 (ジャンプコミックス)

青の祓魔師 3 (ジャンプコミックス)


諸星大二郎 ナンセンスギャグ漫画集・珍の巻

諸星大二郎 ナンセンスギャグ漫画集・珍の巻


諸星大二郎 ナンセンスギャグ漫画集・妙の巻

諸星大二郎 ナンセンスギャグ漫画集・妙の巻

新刊新刊しんかん

滞っておりますが…


渡辺ペコ『にこたま』
タイトルがいいと思います!


佐々木倫子『チャンネルはそのまま!』2巻。
おもしろいなぁー。熟練の腕だなぁー。
地方テレビ局の話なんだけど、同じ局の中でも色んな部署があって色んな人が居て、それぞれなんだろうなぁ。どんな日本語だ。
一言で言ってしまえばおバカで何でも解決しちゃう話なんですが、一話一話しっかりと練って作られているのでマンネリせず安心して読めますね。おすすめ。


鈴木志保食堂かたつむり
原作:小川糸ですね。映画化ですね。柴崎コウ
ポプラ社のコミックは結構めずらしいなと思った。


鈴木志保さんといえば誰が言い出したのか「哲学する漫画家」のキャッチフレーズ。
まあ愚直な説明しか出来ませんが、従来の漫画とは違ったコマで割ってく概念があまり通用しない構成で、文字もフキダシなどに捕われない配置で、テンポのよい音楽のように流れていく、そんな漫画を書かれる方ですね。
そんな彼女が原作つきの漫画をどう書くのか興味があったんですが、問題の原作を読んでいないので、なんかもうダメですね。
(そういえば以前にも星進一アンソロに書いてた気がするけど…どこやったか忘れた)


いやまあとにかく、内容は変わらず鈴木志保さんでした。
物語もありました。原作どれくらい反映されてるのか気になるから今度買う。
読みづらさもあるので合わない人も結構いるかもしれません。
というか僕は少し合わないですね。
じゃあなんで紹介してるんだ?うーん。
いや、自分でもよくわからないけど表現は面白いと思うので!かな?


・板羽皆『3センチメンタル』
むしろ今日のメインはこれ!
すごく!すごく面白かった!


Good!アフタヌーンのコミックスが今日(5日)に創刊で一気に出まして、
なんかしら買うかなと思ってたんだけど、
どれも結構薄かったので貧乏性が発露してかなり迷いました。
結局はtwitter三省堂書店海老名店がおすすめしてた『夏の前日』と『路地恋花』にしようと思ったんですが、
「サムライカアサンの板羽皆 最新の快作!」の帯につられて『3センチメンタル』も買わねば!と。
必殺「迷ったら買う」作戦は財布に優しくない…。


閑話休題、3センチメンタルは、3兄妹のお話。
長男はヤンチャしてる広(コウ)、次男がチャラい南(ナン)、末っ子は多感な少女スズ。
上から高1、中3、小6。
子供達は両親の離婚によって、母の田舎へ引っ越すことになります。
父と母、転居、転校、スズの視点から多感にセンチメンタルに物語は描写されます。


魅力のひとつはキャラクター。
今書いてて思ったが兄妹たちのキャラ立ちしてることと言ったら!
坊主に長ランの広のアホさは特に愛らしくて堪りません!


それぞれの行動がきちんと各々の考え方を表していて、描写から人物がちゃんと読み取れるし、
離婚した親と子、みたいな昼ドラ的関係の中でもそれぞれの立場から正しいと思う行動を取っているのが分かって、
且つそこからドラマが生まれている。
とか大げさに書くと大げさですが、
長男は長男として強くあらねば、次男はそれとは別のやり方で、末っ子は幼いながら色々考えてて、っていう具合にね、それぞれ思うところあるわけです。


つまり兄弟愛!ですね。
広も南も優しすぎて泣けるんだこれが。
何を隠そう僕は兄弟愛モノに弱くて、岩本ナオの『スケルトン・イン・ザ・クローゼット』は何回読んでもじわっとくるし、ジョジョで好きなエピソードベスト3くらいに常に虹村兄弟が入ってるんですが、
兄弟っていうのは友情とか愛情と全然違う不思議な関係で、世の中にも結構「兄弟モノ」が多いのは意外な様ですごく納得できる話だと思うのです。


なんですが、ごめんなさい、それというのも僕自身が男3人兄弟の一人だからで、広と南の長男・次男関係もすごーくツボだったんですが、
そんな僕は凄く面白いと思っても、一人っ子の人とかが読んでも面白いと思うかどうかは、ちょっと分からないですね。


いや、でも面白いと思うんで、気になった方は、ぜひ。
差し引いても面白いだろうこれは!と思う自分といやいや所詮兄弟モノなら食いつく安いシンパシー、と思う自分が居るので、なんともはや。


といったところで今回は失礼。
今日の記事をまとめると、愛=理解!ということです


にこたま(1) (モーニング KC)

にこたま(1) (モーニング KC)


チャンネルはそのまま! 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル)

チャンネルはそのまま! 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル)


食堂かたつむり コミック版

食堂かたつむり コミック版


夏の前日 1 (アフタヌーンKC)

夏の前日 1 (アフタヌーンKC)


3センチメンタル 1 (アフタヌーンKC)

3センチメンタル 1 (アフタヌーンKC)


スケルトン イン ザ クローゼット (フラワーコミックス)

スケルトン イン ザ クローゼット (フラワーコミックス)


ジョジョの奇妙な冒険 30 (ジャンプコミックス)

ジョジョの奇妙な冒険 30 (ジャンプコミックス)

イースト・プレス新刊など

2010年がやってきまして最初の記事ですな。ううむ…


古本屋で石川雅之の本が105円で売ってたから買った。カタリベ。
読んだ。
ううむ…


今更だけど『ひまわりっ』終わった。
最終回はある程度まあテンションが持続してたかというと間違いなくフルスロットルだったというのは少し難しいですが、
締め方は締め方として読後感のいい終わり方だったと思います。
最終回、節子でてこなかったよね…?(部長とかも)
次の連載もすぐ始まる…モーニング編集部も凄いし東村先生もスゴイ…!


気持ち悪いほどKISSを推してる気がしますがやはり面白い。雑誌として。
今出てる号(もう次のになってしまったかな?)の後の方に載ってた、
新人賞受賞の人の漫画がすごく藤枝奈巳絵だ!
しかしあちらは変人多く高めのテンション、に比べ恋愛要素は随分少女漫画らしい。
結構新しいことやってるんじゃないかなー、と思いました。


さて、感想が3つ。
最近は面白い漫画が全然ないよーないよーと言っていたのですが、
まあそれで更新もしようがなかったとも言えますが、
いやしかし結構そういうエアポケット的状態になることはままあるのですが、
そういうときは大体、大きい本屋とかいつも行かない本屋とか行けば解消されてしまいます。


要するに実際に本が売られてる新刊コーナーに行って、実際に並んでいる新刊を眺めることが最も、は言い過ぎか、しかし有益なリサーチなんですよねー、ぼくにとっては。
色んな書店を回れば大体売れ筋とかは同じですが、しかしながら、被ってないところが見つかればそれがその書店の固有の色が出てくるところであり、結果的に良い出会いになりやすい!と思いました特に今回は。
普通に売れ筋が分かるのも有益ですが、自分の場合はバイト先も書店なので大体それはレジ打ってれば分かるのでやはり棚の固有な部分に目がいきます。


さて話が戻りますが、1冊目は金成陽三郎原作、上野愛作画『デカルトの憂鬱〜見知らぬ私〜』。
結論から言ってしまうと、ぼくにとってはもう一つ、というところでした。
惜しいと感じたのは、第1話がとても面白いのにその後の展開がぼやけてしまう点。

ある夜、突然殺されてしまった私、誰に? 何故?
魂だけが他人の体で蘇ったまま、私は、私の殺人事件の謎を追い、今まで知らなかった、自分自身を知ることになる――。

というのがあらすじで、大体1話めの内容ですが、これ、続き気になりますよね。
推理小説ではなんとなくどこかで見たことがあるような導入ですが、
だからこそこの面白い材料をどう料理するのか、興味深くなるものです。

で、推理モノとして売ってるのでネタバレが恐くあまり書けませんが、
推理モノとしては、好みもあると思うのですが、いわゆる問題編の記述にいわゆる解答編で明かされる事実が凡そ含まれている、というまあ本格めいたものがぼくは好きなわけです。
というか推理小説を元々読む人にとっては程度と好みの差はあれど持つであろう嗜好ではないかとも思います。
嗜好なのでもちろん強く主張はできませんが…。


少し話は逸れますが、こういった話の場合は提示される謎は「犯人は誰か」というよりもむしろ「何故殺されたか」になると思うんですよ。
ミステリだとホワイダニットとか言うんですが(Why done it?)、
「誰がやったか」のフーダニットをそっちのけにするなら少なくともこれをちゃんと前フリして全体のテーマに絡めたような納得のいくオチにしてほしかった…。


まあ、「推理漫画」と銘されているものを真面目に推理モノとして読んでも仕方ないとは思います。
そういう意味では東京創元社の『ラ・プティット・ファデット』とかはミステリ漫画してました。
同じ金成さんの金田一少年も個人的には結構好きです。たまにバカミスっぽくなるけど。


上記の点を抜きにしても、視点の問題というのもあるなーと思ってまして、
デカルトの憂鬱』はずっと主人公の一人称視点で描かれるのですが、
こいつが右往左往するだけで何もしないし、
一人称の特徴である「その人ならではの視点」があまり活かされてなかった気がする。
つまり、主人公が子供なら子供にしか分からないこと、などそういう意味でですね。
これなら視点は途中で探偵役(一応)に切り替える方が面白かったかもと思うんですよ、
「自分から見た自分」「他人から見た自分」というテーマはそれでも充分語れるし。
あと容疑者をひとりずつ当たるとかしても王道パターンで面白いと思うんです。


というのを沢山想像できるのが、導入部の発想が魅力的な証拠なのになあ…


さて、無駄に推理要素の話などしてしまったので長くなってますが、2冊目。
かわかみじゅんこ『パリの鈴木家』


これ面白かったです!
何がかと言えば、さっき書いたような視点の問題が上手く描かれてるからです。
突然パリに引っ越しになった鈴木一家のヒロヤ13歳中学生が異国で思うことは、
「ねえ、僕」「この国で友達できると思う?」
「大体さー」「「好き」ってどーゆーことなんだよ」「肉が好きとか犬が好きとか同じ種類?」
普通!どころか、恐ろしいほど中坊!


もちろん、言語の問題、宗教の問題、などなどフランスと日本の違いに戸惑う姿も描かれていて、しかしその中でもヒロヤはいち男子中学生なのです。
そして表現上でその点が、実に効果的に働いているのです。
即ち「鈴木家」という名前にも表れるところ、サラリーマンの父、のんびりした母、ギャルでミーハーなお姉ちゃん、そして思春期男子ヒロヤと、主役一家を日本人のステレオタイプ的に描いている点にも表れるように、「(パリにやってきた)日本人」を描くことがこの作品の主眼のひとつです。


そして、この作品は元々フランス語圏であるベルギーで出版されたものです。
ヒロヤをこうして疑いなく「日本人的」に描くことで、
『パリの鈴木家(原題:It's Your World)』はフランス語圏の人たちに「日本人(が考えるようなこと)とのギャップ」を効果的に読ませることに成功している、のです。


フランスの文化があれこれ描かれてるのも面白かったですね〜
かわかみじゅんこさんってフランスに暮らしてたとかなんでしょうか?


さて3冊目、次は新鋭・衿沢世衣子先生の『ちづかマップ』です。
いやーこれも面白い!
これはフランスとは打って変わって卑近な東京(と京都)の町を舞台にした話。


実は推理漫画の話はこれへの布石でもあります。
『ちづかマップ』は講談社のミステリ雑誌メフィストに連載された作品。
原題は『尋ネ人探偵』。
そう、これもミステリ漫画の一種なのです。


といっても話には殺人やトリックなどは無く、町を歩きながら人探しをするという、どちらかといえばエッセイに近いようなものになっています。
ですがここで本日のミステリ用語その2「日常ミステリ」に注目します。
ようするに、大掛かりな舞台は用いず日常的な小さな謎を解決する推理小説のジャンルであり、「人探し」はここでたくさん扱われる謎のひとつであります。


まぁーもう細かいことを今日は書きすぎて疲れてしまいましたが、
すっきりした読後感と寓話っぽいあらすじはかなり日常ミステリっぽくてグッドです。
そして扱う町が素晴らしい。
本郷・浅草・そして日暮里!ぼくの好きな日暮里!ひぐらしのさと日暮里!
そして制服女子高生を書かせたら衿沢世衣子


という感じですね。いやほんとおすすめなんでどうぞ。
出してる単行本がイーストプレス太田出版青林工藝舎って人なかなか居ないっすよ


デカルトの憂鬱―見知らぬ私― (クイーンズコミックス)

デカルトの憂鬱―見知らぬ私― (クイーンズコミックス)


パリの鈴木家(Cue comics)

パリの鈴木家(Cue comics)


ちづかマップ

ちづかマップ

2009年面白かった漫画

あーえーうー


実は腰を据えてじっくり考えてはいませんが、書きながら決めるのもよかろうと思います。
というわけで、このマンガとかもすごい!2010いきます

続きを読む

年末進行で

2009年総括は次回…ってほんとにギリギリだ!
間に合うかハラハラする


とりあえず22日の講談社発売日を受けて。


石田敦子の短編集『姉さんゴーホーム』
エグイのきた!!!
ラブんラブがあまりにも毒気なかったので、妙に懐かしさを感じた。
表題作は掲載誌が講談社パンドラ(?)なこともあってジュヴナイルっぽい意識が強い気がするのであまり好きになれない感じですが、他の短編はエグくてよいです。
スピリッツにこれ載ったのか…でもウシジマくんとかあるしいいのか…


次に中原アヤの『ベリーダイナマイト』は早くも2巻
結構面白いですが、アイドルってけっこうネタが限定的な気がする。どうなるのだろ?


あとはTAGROの3冊
全部は読んでないけど変ゼミはなんか連載で読んだときほど大胆な展開に見えなかった。結構自然な感じ。
まあ2回目だから当たり前か。


今日もたくさん漫画でるのだなあ
本当追いつかないですよ。
あ、豊田徹也の『珈琲時間』も出ましたね。
これから読もうか。


姉さんゴーホーム (KCデラックス)

姉さんゴーホーム (KCデラックス)



宇宙賃貸サルガッ荘(1) (KCデラックス モーニング)

宇宙賃貸サルガッ荘(1) (KCデラックス モーニング)


珈琲時間 (アフタヌーンKC)

珈琲時間 (アフタヌーンKC)